実行力

 『優れたリーダーに共通するのは、とにかく実行力があるということである。決めたことはどんどん実行し、周囲の意見にも積極的に耳を傾ける。素直に行動するリーダーには、周りの人もできる限り知恵を絞って、成功への協力者へなろうとする。何事も前向きに考え、具体的な行動をすぐ始めるからである。「いいですね。ぜひ実現させましょう。」実行力のあるリーダーが、必ず最初に出す言葉だ。実行力のないリーダーは、優柔不断に態度を保留し続ける。そうしたリーダーほど自己啓発に熱心で、理論書や専門書を多く読んでいる。そのこと自体は、決して悪いことではない。しかし、情報に埋もれてしまって、なかなか行動できないというのでは、本末転倒である。実行力のあるリーダーは、成功を頑なに信じる執着力と、障害に立ち向かう忍耐力が備わっている。少々のことでは引き下がらない。一方、自分が設定した目標が誤りであったり、当初目指していた目標を達成することが不可能であると判断したときは、その撤退も素早い。朝令暮改も辞さない。リスクを恐れない積極性と、失敗の評価をいとわない器量とをあわせ持っている。ビジネスの結果は、予測できることばかりではない。むしろリーダーの決断が求められるのは、成功の可能性が明らかでないことや、達成の水準に幅があることが多い。失敗しても致命傷にならないチャレンジなら、まず行動から始めなければならない。継続すべきでないと判断したら、即やめればいいのだ。「百戦練磨」という言葉がある。どんなに優れたリーダーでも、体験を重ねなければその能力を磨くことはできない。決断力、忍耐力、持久力、統率力など、リーダーシップに欠かせない能力は、現実のビジネスの場で試行錯誤し、経験することでしか得られない。まず行動すること。実行力を身につけることから始まります。』

 リーダーに必要なことは、物事を前に押し進めていくことです。今までの内容にプラスαを加えたり、新たな視点で展開し、実績を作っていくことです。その結果が出せない人は、リーダーとしての役割を果たしていない人です。しかしながら、最初から力のある人はいません。現場の中で自身に挑戦しながら、切り開いていく中で力をつけていくのです。まずリーダーは、実行するところから始まり、体験をどんどん積み重ねていくことです。

同志

 『トヨタにとっては、日産もホンダも敵ではない。GMフォルクスワーゲンも敵ではない。むしろ、彼らはともに明日の自動車産業を成長させ発展させていく同志なのだ。国内外の自動車産業にまつわる技術開発やコスト競争などのさまざまな課題をともに解決し、共存共栄を図るための仲間なのである。』

 競合会社を、競争相手ととらえるのか、同じ道を一緒に開拓していく同志ととらえるかで、付き合いや未来がずいぶん変わってきます。広い視野に立ち、そして共々に切磋琢磨しながら成長し発展してく、こんな同業他社がいることは自社の発展だけでなく、他社の発展にもつながり、業界の発展につながるものです。そして、つまるところお客様により良いものを提供することにつながります。競合会社は、共存共栄していく同志なのです。

期待以上のものを提供する

 『ほとんどの人は、人生を最低限の努力で済まそうとしている。滑り込みセーフで通そうとする。ぎりぎりの線で抜け出そうとする。しかし、裕福になるプロセスは、今の自分以上の存在になるプロセスである。そして、今以上の存在になる唯一の方法は、今の状況を超える努力をすることだ。一つ一つの行動を成功させれば、成功する一日を送る。一日一日を成功させれば、成功する人生を送ることになる。自分の基準を引き上げよう。他の人があなたに要求する以上のことを自分自身に要求しよう。』

 人生を最低限の努力で済まそうとしている人が多い。それでは誰も振り向かないし、その人に関心を寄せる人はいません。同じように生きているのに、それではもったいないと思います。そういう状況であれば、なおさら人が期待する以上のものを提供していけば、一目置かれるのです。これを一つ一つ積み上げていくことです。成功しないわけがありません。

場数を踏む

 『何事であれ、場数を踏むことが肝腎である。場慣れすれば、やたらに怖がることなく、あがったり、混乱したりすることもない。冷静に判断し、それなりにしぶとく対処できるようになる。危機や障害を乗りきるにはなおさらで、ここ一番の切所では、場数によって会得したものでなければ、ものの役に立たないことを深く銘記すべきである。』

 最初は誰だって不安があります。大きな舞台になればなるほど、そうです。その不安をなくすためには、場数を踏むことです。大勢の前での初めての発表ともなると、誰だって緊張します。質問されたら、どうしよう。もちろん、想定される質問はあらかじめ考え、答えを用意しているとはいえ、実際の発表においては想定外の質問はつきものです。質問者の意図するところを即判断し的確に答えようとしますが、あがっているため要を得ないことが多いものです。こう言えば良かったと、あとで反省することばかりです。自身の知識不足や日頃の取り組みの甘さによるものが見えてくれば、その発表も次に生きてきます。そういった発表の場をできるだけつくり場数をどんどん踏んでいくと、発表に対して何の不安も感じることがなくなります。不安がなくなるまでやれるかが鍵です。そこまでやってはじめて、場数を踏んだと言えます。途中でやめてしまったら、場数を踏んだことにはなりませんし、自身の力にはなりません。大勢の人の前で普通に発表できる人は、我々と同じように悔しい思いをしながら、場数を踏んで乗り越えてきているのです。不安なことや苦手なことがあれば、どんどん手を上げてやらせてもらい場数を踏むことです。若い今こそ、その姿勢が大切だと思います。それが早く力をつけ不安をなくす方法です。

指摘

  『部下が間違ったことをした。そんな時、あなたならどうしますか。何か注意することがあった時は、その場ですぐに指摘しなくてはいけない。それが正しい答えです。ダメな上司は、部下が何か失敗しても、その場で注意しません。あとになって注意しても、部下は上司がなぜ叱っているのか分からないからです。間違っていたなら、今すぐ教える。その場で、間違いに気づかせる。直させない方が、かわいそうです。叱るとは社員への愛情があってのことで、優しさです。何も言わないのは、優しさではありません。不親切なだけです。』

 これができるようになるまでに、多くの時間がかかりました。一瞬を逃さず、そして一歩前に出る、そして明るく話す。言葉で言えば簡単なことですが、言うは易く行うは難しでした。こだわっているから、身に付いていくのです。

好奇心

  『多くの人が好奇心を持って様々なことに手を出すが、結局何一つものにすることができない。関心を向ける対象をコロコロ変えて、「僕は好奇心が旺盛でね。」と博学を見せびらかすだけの人間は、すぐに底が割れてしまう。一つのことに固執して、それを究めるまで持続させることを「好奇心」という。一つの夢に向かって、長時間かけて深く探求し続ける。一つのテーマを追い求めることによって、初めて自分にしか見えないものを探り当てることができるようになる。達人は一つのことを奥に必ず潜んでいる“金鉱”を、何年、いや何十年かけて掘り当てるスタミナがある。そして、最終的に自分の求めていた“宝”を手に入れる』

  好奇心は誰もが持っているものですが、そのこだわりの度合いが人間としての差を作っていくのです。一つ一つのことを、安易に妥協しない。腹に落ちるまでこだわる、考えていく中で本当の自信が生まれていくのです。

耳を傾ける

 『ここに二人の経営者がいます。二人とも能力的には同じくらいの力を持ち、同じように熱心に仕事に取り組んでいます。ところが、一人の経営者のもとでは社員が日々成長しつつ、活き活きと仕事をしているのに対し、もう一人のところでは、人もそれほど育たず、職場全体に活気がない。そんな姿を見かけることがよくあります。こうした違いは、いったいどこから出てくるのでしょうか。いろいろな要因があるでしょうが、その大きな一つとしてあげられるのは、それぞれの経営者が、社員の言葉にどれだけ耳を傾けているか、ということではないでしょうか。社員の言葉によく耳を傾ける経営者のもとでは、社員は自主的にものを考えるようになります。自分の意見を聞いてもらえるのは、社員にとって大きな喜びですし、そこに自信も湧いてきます。それがまた、次々と新しいことを考え、提案することにもつながります。自主的に考え行動することが、社員の視野を広げ、考え方を深めて次第に成長させ、自信を持って、いきいき、のびのびと仕事に励む姿を生みだします。けれども、自分の言うことに耳を傾けてくれない経営者のもとでは、社員は面白くありませんし、自信も持てません。そういう日が続けば、やがては“何を言っても仕方がない”と意見を出さなくなるでしょう。自ら考えたり工夫したりせず、ただ言われたまま惰性で仕事をするようになります。それでは社員が活き活きと働く活気ある職場は生まれてこないでしょう。』

 「耳を傾ける」ことは、社員をやる気にさせ、職場全体に活気を生み出す一つのポイントです。経営者が社員の言葉に良く耳を傾けている職場は、社員の方たちも安心して働くことができます。経営者から声をかけられるので、雰囲気が明るくなります。経営者の考え方が自然と浸透し、社員が物事を前向きに考えるようになるのです。