耳を傾ける

 『ここに二人の経営者がいます。二人とも能力的には同じくらいの力を持ち、同じように熱心に仕事に取り組んでいます。ところが、一人の経営者のもとでは社員が日々成長しつつ、活き活きと仕事をしているのに対し、もう一人のところでは、人もそれほど育たず、職場全体に活気がない。そんな姿を見かけることがよくあります。こうした違いは、いったいどこから出てくるのでしょうか。いろいろな要因があるでしょうが、その大きな一つとしてあげられるのは、それぞれの経営者が、社員の言葉にどれだけ耳を傾けているか、ということではないでしょうか。社員の言葉によく耳を傾ける経営者のもとでは、社員は自主的にものを考えるようになります。自分の意見を聞いてもらえるのは、社員にとって大きな喜びですし、そこに自信も湧いてきます。それがまた、次々と新しいことを考え、提案することにもつながります。自主的に考え行動することが、社員の視野を広げ、考え方を深めて次第に成長させ、自信を持って、いきいき、のびのびと仕事に励む姿を生みだします。けれども、自分の言うことに耳を傾けてくれない経営者のもとでは、社員は面白くありませんし、自信も持てません。そういう日が続けば、やがては“何を言っても仕方がない”と意見を出さなくなるでしょう。自ら考えたり工夫したりせず、ただ言われたまま惰性で仕事をするようになります。それでは社員が活き活きと働く活気ある職場は生まれてこないでしょう。』

 「耳を傾ける」ことは、社員をやる気にさせ、職場全体に活気を生み出す一つのポイントです。経営者が社員の言葉に良く耳を傾けている職場は、社員の方たちも安心して働くことができます。経営者から声をかけられるので、雰囲気が明るくなります。経営者の考え方が自然と浸透し、社員が物事を前向きに考えるようになるのです。