真の喜び

 『どの青年も、おしなべて情熱との戦いを繰り返しながら成長していくのに、君は不幸だ。早くから美しいものを見過ぎ、美味しいものを食べているということは、こんな不幸なことはない。喜びを喜びとして感じる感受性が薄れていくということは、青年として気の毒なことだ。』と吉川英治先生は言われている。

 先生が言われた頃と今とでは違うとはいえ、何もないところから自分の力でつかみ取っていくことの中に真の喜びがあるのに、初めから美しいものを見、美味しいものを食べているようでは、なかなか本気で頑張ることはできない。だから、青年として気の毒だと先生は仰っているのです。本気で生きている人は、小さなことでも喜びを体で感じることができるのです。