自主性を引き出す

『人を使って仕事をするにあたって、部下が未熟である場合が少なくない。だからその提案でも意見でも足りない点はいろいろあるだろう。それに対してつい「ああしたらいい、こうしたらいい」と言いたくなるのが人情である。またそういうことは実際に必要な時もあり、また少なくとも方針だけはキチッと指図しなくてはならないだろう。しかし、あまりこまごまと指図することに終始していると、部下は安易になる。いわゆる命これに従うというか、上の人から言われないと動かないという姿になってしまう。これでは人も育たないし、本当に生きた仕事もできない。やはり大事なことは、自分でいろいろ考え、発想し、みずから行っていくという自主性である。そういう自主性をもって仕事をしていって、はじめて人も育ち、仕事の成果も上がってくる。だから指導者として大事なことは、あれこれ指図するのではなく、そのように人々の自主性を引き出していくことである。』松下幸之助氏の言葉である。

つい一言、手を差し伸べてしまう。これでは、人は育たない。言うべきことをしっかり考えたうえで発言し、その人自身に考えるように仕向けることが大切です。どこまで言うか、その加減が難しい。とはいえ、自分で考えることができるようになると、言わなくても状況を見てピンとくるようになり、幾重にも広げ展開できるようになります。その人の自主性を引き出すためには、上司のたゆまないきっかけ作りがポイントです。